陶芸徒然帳〜雑記2009年7月黒茶盌の焼成 35-2009/07/31 利休と秀吉の逸話は 他に梅にまつわるものもあります。 秀吉はある時、 水のいっぱい入った大きな金色の鉢と その横に紅梅一枝を用意させました。 そして、利休を呼び寄せると、 「その大鉢に傍らの紅梅を生けてみよ。」と命じました。 大鉢に紅梅一枝とは なかなか取り合わせにくい難題です。 朝顔のかたきを 梅で取ろうとしたのかもしれません。 利休は澄ました顔で 「かしこまりました。」と言うと いきなり梅を逆手に持ち替え 片手でそれをしごき始めました。 紅梅の花びらや蕾が水面に浮かび、 黄金の鉢に映える姿を見た秀吉は、 驚嘆の声を発したと言われています。 ここでも利休の心と それを受け止める秀吉の心が 描かれています。 黒茶盌の焼成 34-2009/07/11 黄金の茶室を建てて、 得意満面の秀吉に、 利休はどんな言葉よりも痛烈に 一輪の朝顔の美しさを、 そして贅沢の無意味さを 示したのかもしれません。 この逸話には 利休の高い審美眼と精神性が 描かれているのですが、 いっぱいくわされた秀吉は どうだったのでしょう。 まるで利休に 手玉にとたれたかのように見える 秀吉ですが、 床の一輪の朝顔の美しさを感じる心は 充分に持っていたということです。 黒茶盌の焼成 33-2009/07/05 利休と秀吉の間の 数多くの逸話の中に 「利休の朝顔」と呼ばれるものが あります。 利休の屋敷の庭に 朝顔が一面に咲く様子は とても美しいものでした。 それを耳にした秀吉は、 利休に「明朝、朝顔を見に行く。」 と伝えました。 そして翌朝、 秀吉が利休の屋敷を訪れると、 朝顔の花など一輪もありません。 朝顔の花が無いなら無いで、 なぜそのことを正直に昨日 言わなかったのかと思うと 秀吉は非常に腹が立ってきました。 しかし、案内された茶室の床の間に 一輪の朝顔が生けてあったのです。 その美しさは、 庭一面に咲き誇る朝顔には 見ることの出来ない 感動がありました。 利休は庭に咲くすべての朝顔を 抜き取ってしまい、 たった一輪、 しかも、何十、何百という花の中の一輪を 床の花としたのです。 |
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