陶芸徒然帳〜雑記2009年4月窯場風景 9-2009/04/28 これまでに育てた野菜の、 その花の美しさに驚いたのは、 牛蒡の花でした。 うす紫色で、 薊(あざみ)をやさしくしたような花で あのしっかりとした根っこからは 想像もつかない程可憐なものでした。 そしてオクラも 非常に美しい花のあとに あの五角形の実がつきます。 どのような美しさかというと、 「黄色いハイビスカスのような花」 というのがぴったりと思います。 オクラも、ハイビスカスも、 木槿も、そして綿も 皆同じアオイの仲間の植物です。 窯場風景 8-2009/04/25 家庭菜園では 思いがけないラッキーに 出くわすことがあります。 種を播いて、 芽が出た後の間引き菜や 菜っ葉を食べ終わった後の トウ(若い花芽)の部分には 八百屋やスーパーの野菜には無い 美味しさがあります。 そして 野山に沢山の花が咲くこの時期、 これらに決して負けることの無い 美しさ、可愛らしさが 野菜の花にもあります。 春菊の花もその一つ、 玄関でも床の間でも、 その可憐さが引き立ちます。 黒茶盌の焼成 25-2009/04/21 成形しやすく、 しっかりと焼き上げる為の 粘りの強い土、 ざっくりとした味わいを出す為の 砂気の多い粘土、 そして土の味わいを残す為の 耐火性の強い土を 自分の好み、 あるいは目的に応じた配合で 混ぜ合わせています。 単一の粘土で、 これらの条件をすべて 満たすことの出来る土があれば 理想的なのですが、 それは不可能に近いと思います。 長次郎が用いた聚楽土が 偶然にも茶道具としての茶盌に 最もふさわしい土であったことが 長次郎茶盌を生み出す 要因の一つになっただろうと思われます。 黒茶盌の焼成 24-2009/04/17 以上の必要最低限の条件に加えて、 私はCの条件は 非常に重要な要素があると考えています。 土を削って仕上げた茶盌が 窯で焼き上げられた時、 イメージが全く違うものに なってしまうことがあるのです。 焼き物は土で仕上げた時より、 ひとまわりか、ふたまわり縮みます。 そのとき単に大きさだけが 変化するのではなく、 肉づきがそげ落とされ、やせ細った雰囲気に なってしまうことがあります。 茶盌の見所を他のものに例えると 毛筆で書かれた文字と共通すると思います。 そんな毛筆で書かれた味わいの茶盌が、 焼成することによって まるで竹串の先にインクをつけて 描かれたような雰囲気に なってしまうことがあるのです。 このような欠点が生じない為に、 私は3種類の土を混ぜて粘土を作っています。 黒茶盌の焼成 23-2009/04/13 楽茶盌をつくる土の条件について もう少し詳しく述べてみます。 まず@の粘度ですが、 楽茶盌はロクロを用いず、 粘土細工のように茶盌の原型を作ります。 ひも作り、あるいは 塊からひねりあげるにしても 作りやすいための粘度が必要です。 Aの砂気については、 先ほどの原型を適度の固さにまで乾燥させ、 鉄のヘラで削って茶盌の形を仕上げます。 このとき粘土に含まれた砂は 削り心地、削られた肌、 そして乾燥時の収縮に大きく影響します。 そしてBの焼成においてですが、 楽茶盌は赤く熱せられた窯に 茶盌を入れそして引き出す過程があります。このとき、破裂したり、 キズを生じることの無い土を 選ぶ必要があります。 窯場風景 7-2009/04/10 もうすっかり春になる頃、 「岩根絞り」という椿が咲きます。 八重咲きで、赤地に白い絞りの入る大輪花です。 窯場にある岩根絞りは、 毎年一枝だけ白い花を咲かせていました。 いわゆる枝変わりです。 5年ほど前、 その白い花を付ける枝をいくつかに切り分け、 それぞれを挿し木してみたら 3本が根を下ろし、 白い花を付けるようになりました。 私自身は世界に3本しかない椿、 「白花岩根絞り」と思っています。 世界中の園芸家の中には 同じことをしている人がいるかもしれません。 そうなると世界に何本あるのか 想像が付かないのですが、 私自身は世界に3本と 思い込んでいたい気持ちです。 黒茶盌の焼成 22-2009/04/07 全国各地に焼き物がありますが、 昔は地元に産する粘土を 用いるのがふつうであり、 その粘土の特性に応じた焼き方が 発達しました。 現在は多くの場合、土は業者から仕入れます。 どのような粘土を用いるかは 作者の選択であり、 全国の土を取り寄せることが出来、 場合によっては外国の土も 手に入れることが出来ます。 黒茶盌を作るための 粘土に求められる条件として、 @成型しやすい為の適度の粘度 A削りやすい為の適度の砂気 B焼成時における急冷に傷が出ない C焼成時、土の味わいを無くしてしまわない などを私は重視しています。 黒茶盌の焼成 21-2009/04/03 焼き物の釉薬の原料として、木灰を用います。 そして多くの場合、 水にさらしてアクを抜いたものを用います。 そして、そのアクは昔、 染物屋が用いたと聞いています。 赤楽茶碗#の化粧掛けには黄土と呼ばれる 非常に美しい黄色い土を用いますが、 これも昔、染料として用いられました。 材料、原料の入手においても 各種の職人の間での交流が活発である方が、 便利なことが多くあります。 長次郎の茶碗#の多くは 聚楽土と呼ばれる赤土で作られています。 聚楽土という名称は 左官の間にも使われるのですが、 「聚楽第跡付近に産する赤土系壁土」を 指しています。 異なった業種の職人の仕事における原料が 共通することも多くあると思います。 ただ、同じ原料であっても、 求める条件は微妙に、場合によっては 全く異なることもあります。 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
戻る |